広野
名称 | 広野/the Vast |
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首都 | なし |
元首 | |
人口 | 1,308,960(人間78%、ドワーフ9%、ハーフリング5%、エルフ3%、ノーム2%、ハーフエルフ1%、ハーフオーク1%) |
政治形態 | 都市国家と封建領地 |
宗教 | エルダス、クランゲディン、タイモーラ、チョーンティーア、テンパス、トーム、ミストラ、ワキーン |
主たる輸入品 | ガラス、贅沢品、塩 |
主たる輸出品 | 銅、穀物、鉄、家畜、ニッケル、羊皮紙、銀、織物 |
属性 | 秩序にして中立、真なる中立、中立にして善 |
説明文 | “広野"はドラゴン入江の東岸にある、緑の農地と狩り場だ。この地域は、繁栄する港で最も良く知られている。悪のカローント、常に変化し続けているタントラス、冒険者の憩いの地であるレイヴンズ・ブラフ、組織化されているプロキャンパー。オークとドワーフが、近くの山脈の覇権を競っている。オークが低地を略奪するのは稀だが、トラブルの種であるのは間違いないため人間は沿岸地域に集中している。競いあう勢力が陰謀を張り巡らせており、またドワーフの遺跡がたくさんあるため、冒険者が集まってきている。 落星海のおかげで、"広野"の気候は年間を通して温暖だ。夏は長くて涼しく、冬は短くて暖かい。広野の大部分は、起伏に富んだ農地だ。畑は、瓦礫で作られた低い壁で仕切られている。農地には、木が生えた小さな区画が散在している。何ダースもの小川がこの地域を流れているが、大河に合流しているものはあまりなく、たいてい水たまりで終わっている。それらの水たまりは地下の小川に繋がっており、それらの小川は"内海"に流れ込んでいる。ジグソーパズルのような水の流れは、広野に厚く積もった土の下にある、ひびが入ったり斜めになったりしている岩層に由来している。小さい穴、洞窟、割れ目がたくさんある。 |
出典 | FRCS/p135 |
生活と社会
主要な地勢
これはアースパー山脈の支脈だ。西にあるドラゴン入江に向けて走っている。斜面が急なため採鉱は困難だが、銅、銀、鉄の鉱脈が最近発見されたため、富を得るためなら困難も辞さない者がたくさんやって来ている。ジャイアント・イーグルなどの飛行クリーチャーが、最も高い峰々の領有を主張している一方で、山脈の奥深くにはものすごい数のオークとオーガの住処がある。北と南の間を行き来するための、主要な峠が2つある。西にあるのがエルフ血峠、東にあるのがグローミング峠だ。
幅が広く、一般的に穏やかなこの川は、高地方から流れてきて西へ流れ、レイヴンズ・ブラフで落星海に注いでいる。ドラゴン・フォールズには、大都市が1つある。ドラゴン・フォールズは、レイヴンズ・ブラフから数百マイル上流にある。
重要地点
(巨大都市 38,706)
現在"広野"で最大の影響力を持つとともに、最も大きい都市。カローントは、夕暮川を通る交通をがっちりと掌握している。"広野"のその他の地域にとっては不幸なことにこの都市は、この川を使用している海賊や略奪者の番人ではない。もちろん、それらの者たちがカローントの脅威にならなければの話だが。仕事でこの都市を訪れる者はたくさんいるが、この場所を好んでいる者はほとんどいない。ここの主要産業は皮鞣しだ。皮鞣し所の悪臭は、しばしば数マイル先まで匂う。"内海"の船乗りたちは、最も深い霧の中でも匂いでカローントを見つけだすことができると言っている。
カローントを支配しているのは、とある悪の冒険者グループだ。彼らは自分たちのことを"豪商"と呼んでいる。彼らの指導者は、自分のことを"最高笏杖"と呼んでいる。これらの強欲な悪党たちは、自分の利益のために他人の資産を徴発することをなんとも思わない。カローントを訪れる者たちは、富や魔法を見せびらかさないように注意している。
(大きな都市 21,816)
"災厄の時"にトーム神がここにいたことで有名だ。もしくは悪名高い。タントラスは現在、"広野"の主要都市の1つとなっている。1358DR年にトームとベインの化身が、この都市の郊外でお互いを滅ぼしあった時、タントラスの半分以上の地域が廃嘘になった。以降長い年月をかけて、ダメージは修復された。この都市で常に人気があったトームは、今ではタントラスの救い主として崇拝されている。
(大きな都市 17,594)
"近づき難い東方の入りロ"として知られている。この混みあった港は、"広野"最南の都市だ。ここは"広野"、インピルター、"旧帝国"、ヴィルホン入江の商人が集う交差点である。この都市はまた、たくさんのドワーフが訪れる地でもある。彼らは散らばった同胞に関する任務のためにここを通過しているのだ。ツァーラゴルの位置には、いくつかの欠点がある。この都市はおそらく。この地域にある他のいかなる都市よりも、略奪されたり火を放たれたりした回数が多い。現在この都市は、とある丘の上にある。この丘は少なくとも20の、以前の都市の基礎からなっている。
(大きな都市 24,631)
ドラゴン入江の東のロにある、古く豊かな独立交易港。プロキャンパーは、各区画が城壁で囲まれていることで、フェイルーン中で有名だ。各区画にある、すべての建物の屋根はスレートでできており、特定の色に塗られている。プロキャンパーは"内海"北部沿いにある都市のなかで、最も豊かなことで有名だ。プロキャンパーは金細工師、宝石細工師、宝石商、若干の盗賊、厳格な地元政府で知られている。人間の都市であるプロキャンパーは523DR年に、プロエスカンパラーがあった場所に建設された。プロエスカンパラーはドワーフの地下町で、-153DR年頃に建設された。
世襲の大領主であるサルティアルが、プロキャンパーを支配している。現在のサルティアルは、"王家の血を引く"レンデス(混沌にして善、男性の人間、アリストクラート3/ファイター6)という名前の、分別のある若い戦士だ。彼の家族は、赤銅色の髪と灰緑色の瞳で容易に識別できる。ハマヤーチと呼ばれている忠実なウイザード助言者が、伝統的にサルティアルを補佐している。現在の助言者であるアラモンド(中立にして悪、男性の人間、ソーサラー10)は、正直でもなければ公正でもないと疑われている。
要塞化された高い城壁がプロキャンパーを守っている。この城壁を貫いているのは、港の両側にある沿岸道門だけだ。この騒々しい港は、この都市の厳格な規則に基づかずに運営されている。ここの建物は、さまざまな様式、大きさ、屋根の色がごちゃごちゃに混ざっている。この港には漁民、船大工、タト国の商人が住んでいる。ここには、プロキャンパーの当局に属さないあらゆる家畜と乗騎があるし、調教施設、装備品、厩もある。
警備されている巨大な門が、港から"大通り"に向かって開いている。"大通り"は、この都市のすべての街区に通じている街路だ。"大通り"はまっすぐ東に延びて、城区に通じている。城区には、屋根が金のサルティアル宮殿と最高裁判所、そして屋根が白い都市警備隊の兵舎と厩がある。門の警備兵は入る者すべてに、この都市の規則を忍耐強く説明している。プロキャンパーにおけるすべての活動は、それに該当する街区(または港)内に制限されており、官憲は厳格で、目が行き届いており、有能だ。政府は、この都市に盗賊ギルドを設立しようという無数の試みを粉砕してきた。この都市の軍隊は、ムルマスターとセンビアを海戦で徹底的に打ち負かした。
(巨大都市 28,150)
富、権力、重要性に関しては、カローントに次いで2番目に位置している。レイヴンズ・ブラフは"火川"の河ロにあるため、"広野"が輸出する農業生産物の3分の1以上が、ここにある港から出荷されている。これに加えてこの都市には長年に渡って、あらゆる種類の冒険者が引き寄せられて来ている。地元政府は寛大だし、解明すべき神秘や陰謀はたくさんあるから。それらの大部分は、この都市の自由奔放な雰囲気や、いかがわしい裏世界がもたらしている。レイヴンズ・ブラフはまた、魔法のアイテムの交換や販売の中心地でもある。レイヴンズ・ブラフは、1370DR年の夏に破壊されかかった。マイアキスサ・ジェランと呼ばれていた冒険者が、この都市を襲撃したのだ。彼女は、傭兵と獰猛なモンスターからなる軍の指導者だった。この短い戦争によっ、て、この都市は海軍を失い陸軍もほとんど失い、自立する手段もほとんど失った。しかしながら、新しい市長であるアンバー・ソーデン卿に率いられた、頑強で機知に富むレイヴンズ・ブラフ市民は、ものすごいスピードで再び繁栄した。
1372DR年の前半に、マイアキスサ・ジェランがこの都市を攻撃した理由が明らかになった。アンバー・ソーデンは実はジェランだったことを、冒険者たちが発見したのだ。それに続く抗争中に、彼女はいなくなった。こうして、前の市長であり冒険者の友でもあるチャールズ・オケイン(秩序にして中立、男性の人間、ファイター17)が、再びこの騒々しい都市を統括することになった。.
地域の歴史
"広野"(ヴァスト)という名前の起源はすでにわからなくなってしまっているが、この名前はオークのヴァスター王国から派生したという点で、賢者たちは同意している。ヴァスター王国はかつて、ドラゴン入江の東岸全体を支配していた。ヴァスターのオークは、ミス・ドラナーのエルフと戦った。粗雑な木製の船に乗って、もしくは入江の北端の陸地を通って、入江の西岸を何度か侵略したのだ。やがてオークは"広野"の鬱蒼と茂った森を、孤立した木立が散在する草原に変えてしまった。この状態は今も続いている。
エルフに対する一連の敗北を喫した後、最終的にヴァスターは滅んだが、西からやって来たドワーフによる圧力の増大もこのオークの滅亡に寄与した。ドワーフの拡張の大部分は地下で発生したため、"広野"には今でも、ドワーフが放棄した鉱山がたくさんある。
オークが滅んだ後、ドワーフがロルディラーを建国した。"かすかに光る剣の国"(610~641DR)である。しかしながら、再起したオークが地上と地下を席捲した。ドワーフ王国の崩壊によって発生した権力の隙間に、人間がすごいスピードで入り込んだ。彼らはごみごみしたヴィルホン入江からやって来て、"火川"の南に拠点を建設した。彼らはそこから広がり、オークを低地から迫出した。1222DR年、ロルディラーの廃嘘の上にレイヴンズ・ブラフ市が設立され、以後着実に発展している。