メソポタミア神話
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*メソポタミア神話とは、メソポタミアとよばれる地域において、シュメール人、アッカド人、アッシリア人、バビロニア人と後に移住してきたアラム人、カルデア人の間で共有され、発展した宗教をいう。
- シュメール神話:シュメール人の神話
- バビロニア神話:バビロニア人の神話
- アッシリア神話:アッシリア人の神話
シュメール神話
- シュメール人の世界観
- シュメール人は、世界とは閉じたドーム状の姿をしており、その外に原初の海(ナンムあるいはティアマト)が広がっていると考えていた。そして、ドームの基礎をなす地表の下には、地下世界と淡水の海(アプスー)が広がっていると考えていた。
- 創世神話
- 天空の神アンと地上の神キがエンリルを生み出す。
- やがて、エンリルが神々の最高位に就いた。
- エンリルが天と大地を分離する。
- アヌンナキとは、
- 三柱の冥界神
- エンリルの妻となるニンリルは家族とともにディルムンで暮らしていた。エンリルに暴行を受けたニンリルは、月神ナンナを生む。
- エンリルは、ニンリルを襲った罪で冥界へと追放される。ニンリルもその後を追った。
- エンリルは門番に扮して、ニンリルを妊娠させ、死の神となるネルガルを生ませた。
- 同様にエンリルは「『人喰い河』の男」に扮し、ニンリルに医療神ニンアズを生ませた。
- 最後にエンリルは「船頭」に扮し、第4子である河と運河の神エンビルルを生ませた。
- エンリルのこれらの所業はすべてナンナを昇天させる身替わりを作るためだった。こうして生まれた三柱の神は月神ナンナに代わり冥界に下る。
- ナンナはヨシの女神ニンガルとの間に戦争と豊穣の神イナンナ、そして太陽の神ウトゥを儲けた。
- 人類の誕生
- エンリルの腹違いの弟エンキは、淡水・知恵・魔術を司る神であり、人間を生み出した。
- 神々が増えると、その食料を得るために、低位の神々は農作業などに追われるようになった。
- あるとき、農作業に疲れた神々が作業を拒んだ際、人間を作って作業をさせ、神々が働かなくともよいようにした。
- イナンナの冥界下り
- 洪水神話
- シュメールの伝承
- 「ルガルバンダ叙事詩」「ルガルエ」「アンギム」「ビルガメシュ、エンキドゥ、冥界」
- アッカドの伝承
- 「アンズー神話」「アトラ・ハシース」「エンメルカルとルガルバンダ」
アン | 天の神。アッカドではアヌと呼ばれる。 |
キ | 地上の神。 |
エンリル | 大気の神。ニップルの都市神 |
ニンリル | 大気の女神であり、エンリルの妻。アッシリアではムリッスと呼ばれる。「風の女王」の意。 |
ナンナ | 月の男神。ウルの都市神。エンリルとニンリルの第1の子。アッカドではシンと呼ばれる。 |
ネルガル | 冥界神。エンリルとニンリルの第2の子。月神ナンナに代わり冥界に下る。後にエレキシュガルの配偶神としての性格を与えられる。 パルティアでは死せる英雄ヘラクレスと同一視される |
ニンアズ | 医療、耕地の神。エシュヌンナの都市神。エンリルとニンリルの第3の子。「医師なる主人」の意。月神ナンナに代わり冥界に下る。 |
エンビルル | 河川と灌漑の神。エンリルとニンリルの第4の子。月神ナンナに代わり冥界に下る。 |
イシュクル | 嵐の神。エンリルとニンリルの子。元々はメソポタミア北部のセム系の最高神。カルカルの都市神。アッカドではアダドと呼ばれる。 |
ニヌルタ | 豊穣と戦闘の神。エンリルとニンリルの子。ラガシュの都市神「ニンギルス」と同一視される。「大地の主」の意 |
ニンガル | ヨシの女神。月神ナンナとの間に、太陽神ウトゥと金星の女神イナンナを儲ける。「偉大なる女王」の意 |
イナンナ | 金星、愛や美、戦い、豊穣の女神。ウルクの都市神。ナンナとニンガルの娘。アッカドではイシュタルと呼ばれる。 |
ウトゥ | 太陽神。ナンナとニンガルの子。イナンナとは双子の兄妹になる。。シッパルとラルサの都市神。アッカドではシャマシュと呼ばれる。 |
エレシュキガル | シュメールの冥界の女王。イナンナの姉とされる。 |
エンキ | 淡水の神。エリドゥの都市神。エンリルの異母神。アッカドではニニギグと呼ばれる。 |
ニンフルサグ | 大地の女神。運命を定める7人の神々に名を連ねる。 |
バビロニア神話
- 創世神話
- バビロニアにおいては、アプスーとティアマトは人格神として扱われている。真水を司るアプスー、塩水を司るティアマトの交合から、ラハムとラフム、アンシャルとキシャル、アヌ、その子エアとその兄弟たちなど、さまざまな神々が生まれた。
- 神々は非常に騒がしかったため、アプスーとティアマトは不愉快に思った。アプスーは神々を滅ぼそうと企ててティアマトに提案するが、反対される。アプスーはムンムの同意を受けて計画を実行しようとするが、それを悟ったエアは魔法でアプスーを眠らせて殺し、ムンムを監禁した。
- エアはアプスーの体の上に自らの神殿エアブズを建設し、妃のダムキナとの間にマルドゥクをもうける。エアよりも優れたマルドゥクの誕生を喜んだアヌにより贈られた4つの風で遊ぶマルドゥクにより、ティアマトの塩水の体はかき乱され、ティアマトの中に棲む神々は眠れなくなった。
- ティアマトはこれらの神々の説得に応じ、アプスーの死への復讐を企てた。ティアマトは力を強め、これらの神々も力を合わせた。
- ティアマトは戦いに勝利するため、2番目の夫キングーに天命の書板を与えて最高神の地位に据え、さらに11の合成獣の軍団を創り出した。
- 最終的にマルドゥクがティアマトに勝利し、ティアマトの遺骸を用いて世界を形成する。
- ティアマトに勝利したマルドゥクは天命の書板をアヌに進呈し、世界法則の制定及びさらなる世界の創造を進める。
- また、マルドゥクはキングーを殺し、その血から人間を創造したことで、これらの神々は労働から解放された。
- それに喜んだ神々はマルドゥクへの奉仕として、神々の住み家であるバビロンの建設に着手し、2年でこれを完成させた。
- 神々はマルドゥクに最高神の権威を与え、50の名で彼を讃えた。
- バビロニアの伝承
- 「エマヌ・エリシュ」「ギルガメシュ叙事詩」
アプスー | 淡水の海から生まれた神。 |
ティアマト | 塩水の海から生まれた女神。アプスーと交わり、若い神々を生み出した |
ムンム | 霧の神。アプスーとティアマトの従神。 |
キングー | ティアマトの息子にして、第二の夫。 ティアマトの軍隊の指揮官としてマルドゥクに戦いを挑むも、その軍勢に恐れをなし敗北して捕まる。 |
ラハム(ラハブ) | 水の女神。アプスーとティアマトの子。 |
エア | 元はシュメール神話の神エンキ。バビロニア神話においてはアプスーの孫にあたり、若い世代の神々の代表に選ばれた。 アプスーに魔法をかけて深く眠らせたうえ、地底深くに閉じ込めて殺した。 ギリシアにおいては、山羊座を象徴するカプリコルヌスとなった。 |
マルドゥク | バビロン市の都市神。元来は「牡牛の神」。ティアマトを殺害して、神々の王となる。 |
イシュタル | シュメール神話の金星の女神で、都市ウルクの女神。 イシュタル、アスタルテ、アフロディーテの原型となる。 |
アッシリア神話
アッシュール | アッシリア神話の最高神。同盟の都市アッシュールの都市神。アッシュル至上主義的宗教改革により、マルドゥクのものであった最高神の座を奪い取った。 |
メソポタミア神話の怪物
アンズー(イムドゥグド) | ライオンの頭部と鷲の身体を持つ姿とされる雷の化身たる星獣。アンズーはアッカド名であり、イムドゥグドはシュメール名。 |
ムシュフシュ | 頭は蛇、角が長い角が二本、耳が2つはえており、ライオンの前脚、鷲の後脚、そしてサソリの尾を持っている。元はニンアズ神の使いでその毒により人々を死に至らしめる「蛇の王」だとされた。 『エヌマ・エリシュ』ではティアマトの生み出した11の怪物の一つとされた。 |
バシュム(ウシュム) | 「毒蛇」「誕生の女神の蛇」。前脚がある角の生えた蛇。シュメールではウシュム(ウシュムガル)と呼ばれた。 『エヌマ・エリシュ』ではティアマトの生み出した11の怪物の一つとされた。 |
ムシュマッヘー | 「特別な蛇」。鋭い歯、容赦ない機牙、血液の代わりに毒が流れているとされる七つの頭を持つ蛇。 『エヌマ・エリシュ』ではティアマトの生み出した11の怪物の一つとされた。 |
ウガルルム(ウガル) | 「巨大な嵐の獣」。頭はライオン、上方に伸びたロバの耳があり、脚は鳥のものだとされる。片手には短剣を持ち腕をあげ、もう片手に槌鉾を持つ。 『エヌマ・エリシュ』ではティアマトの生み出した11の怪物の一つとされた。 |
ウリディンム | 「狂った犬」。上半身は人間で、腰から下はライオン。 『エヌマ・エリシュ』ではティアマトの生み出した11の怪物の一つとされた。 |
ギルタブリル | |
クリール | |
ウム・ダブルチュ | |
クサリク | |
ガルラ | 冥界の悪霊。人間を地下世界へ引きずり込む死神。 |
アサグ(アサック) | 病気を引き起こす悪霊。井戸を枯らし、大地を毒で覆う。ナムタルは秩序的であるのに対し、アサグは無秩序であるとされた |
ナムタル | 人間を急死させる悪霊。『イシュタルの冥界下り』では、ナムタルはイシュタルに「六十の邪気」を放ち冥界に閉じ込めた。 |
フンババ |
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