火の元素界
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火の元素界 / | |
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内方次元界 | |
解説 | ほぼ純粋に火の元素からなる内方次元界。 火の元素界ではあらゆるものが燃えている。地面は常に形を変え続ける高密度の炎の板にすぎない。大気は永遠に続く炎の嵐のせいで波打ち、最もよく見かける液体は水ではなくマグマである。海は液体の炎で満たされ、山々は溶けた溶岩を吐き出している。準備を怠った旅行者たちにとって、ここは文字どおり火葬場であり、きちんと覚悟と準備をして挑む冒険家にとっても、快適な場所とは言い難い。ここでは、火は燃料や空気が無くても燃え続けることができるが可燃物が持ち込まれたなら、いとも簡単に焼き尽くされてしまう。元素の火はまるで互いを飲み込みながら永遠に燃え盛る世界を形作っているかのようだ。 次元界ガイド 火の元素界における最大の危険は、次元界の持つ“火元素優勢”の特性である。次元界自体の発する熱、永遠に燃え続ける炎、大気を満たす高温で毒性を持った煙といったものは、すべてこの特性が物体や生きているクリーチャーに対して与える効果に含まれている。火の元素界にいるクリーチヤーはこの次元界に留まり続ける限り毎ラウンド、3d10ポイントのダメージを受けるとともに、着火する危険性がある。 しかし適切な呪文や魔法のアイテムを持ち込んだ旅行者であれば、短期間、この次元界の中で生き延びることができる。 長期的に見た場合には、食料と飲み物が問題となるだろう。エレメンタル(物質界のクリーチャーのエレメンタル版も含めて)は次元界自体の元素から成り立っている。そのため食用にはならず、死ぬともとの元素に戻ってしまう。火の元素界出身の来訪者であれば"通常の食べ物"だけでなく炎を食べても生き延びることができる。そのため、訪問者のために食料を貯蔵していることはめったにない。たとえ食料があったとしても、黒焦げか、焼けてカリカリになっているか、いずれにせよ良く焼けている。そして飲み物は、水であろうがワインであろうがエールであろうが沸騰した状態で出てくる。 火の元素界は常に光に照らされている。地面、大気、建造物、さらには原住種族の一部までもが永遠に炎を発し続けているからだ。しかしながら、視覚の妨げとなるのは、まぶしい輝きではなく、熱による効果と、永遠に煙を発し続ける大気である。大気は熱のせいで波打っており、視界の端ではいつも屡気楼がゆらめいている。そのため周囲の風景の本当の様子は、ごく近くからしか見ることができない。 煙の充満した大気は、通常の視覚を120フィートの距離までに制限する。呪文や魔法のアイテムによって与えられた視覚は、この距離まで有効となる。火の元素界の原住クリーチャーのうち、種別がエレメンタル(火)か来訪者(火)であるものは、240フィート先までのものを見ることができる。 火の元素界では暗視は機能しない。例外として、自然の暗闇がある 場所なら働くがそういった場所はごくまれにしかない。黄銅城にあるイフリートのスルタン(君主)の宮殿になら、そういう場所もあるかもしれない。 これ以外の感覚は火の元素界で特別な作用を受けることはない。ただし、ほとんどの場所ではいつも火がパチパチとはぜているため、〈聞き耳〉判定には-2の状況ペナルティが課せられる。 蒸気雲 火の元素界の地表より上にある大気は、高温のガスと煙から成り立っている。炎に彩られた景色の上では、超高温の蒸気が渦巻いているのだ。煙や、燃え盛る大気の中の輝く蒸気の中で、蒸気雲を見分けることは難しい。そのため旅行者は予期せずこういった雲の中に捕らえられてしまうことがある。蒸気雲の多くは地表から遠く離れており、飛行するクリーチャーにとってのみ脅威となる。イフリートのような原住種族は蒸気雲を引き起こすたぐいの風の変化を感知することができ、望むなら雲を避けることができる。 蒸気雲はその中に捕らえられたものに対し、環境によるその他のダメージに加えて、毎分ごとに1d10ポイントの[火]ダメージを与える。 蒸気は何らかの面の上で凝結し、焼け付く雫となる。典型的な蒸気雲は半径100フィート(約30m)だが、その10倍もの大きさに達するものもある。雲は毎分約120フィート(約36m)の速度で動き、1d10時間で自然消滅する。 灰の雨 熱い灰の雨は地上にいる者に対し、蒸気雲が空中にいる者に対して与えるのと同様の危害を与える。この雨は通常、地平線が暗くなるという前兆で始まり、やがて夏の雷雨のようにそれが近づいてくる。 灰の雨に打たれたものは、火の元素界から受ける自然のダメージに 加えて、各ラウンド追加で1d10の[火]ダメージを受ける。[火]への完全耐性を持つクリーチャーはこの作用を受けない。灰の雨は突発的に発生し、2d10分後に通り過ぎるか消滅する。 マグマの川と火の滝 火の元素界の大半はゆっくりと動く固体状の炎でできているがもっと動きが速く温度の高い部分も存在する。炎とマグマの川が火の元素界の可塑性の大地を流れているのだ。マグマの川は非常に高温でその中に入ったものに追加で20d10の[火]ダメージを与える。[火]への完全耐性を持つクリーチャーは熱によって傷付くことはないがそういったクリーチャーでもマグマの川で溺れる危険性はある(物質界のク リーチャーが普通の川で溺れるのと同じである)。 マグマの川はしばしば崖を流れ落ち、みごとな火の滝を作り出す。この液体伏の炎の滝は、しばしば天然の渦動として次元界どうしの間を突き破り、物質界のよく似た場所へと繋がっている(たとえば火山の火口の中心など)。火の元素界からどうしても脱出したい旅行者は、適切な予防措置をとればくこういった天然のポータルを探して旅立つことができるだろう。 |
物理的特性 | 通常の重力 通常の時間流 |
元素およびエネルギー特性 | 火元素優勢 |
属性的特性 | |
魔法的特性 | 魔法の増強:[火]の補足説明がついた呪文や擬似呪文能力は威力最大化され、距離延長される(《呪文威力最大化》と《呪文距離延長》の特技が使われたかのようになるが通常より高いレベルの呪文スロットは必要としない)。すでに威力最大化されたり距離延長されている呪文や擬似呪文能力は、これらの利益の作用を受けない。 魔法の阻害:水を使用したり創造する呪文や擬似呪文能力(水の領域の呪文、ウォーター・エレメンタルや(水)の副種別を持った来訪者の招来を含む)は阻害される。 |
住人・請願者 | 内方次元界の中で最も過酷な世界の1つであるにも関わらず、火の元素界は最も活気に満ちており、住人も多い。ここには数多くのエレメンタル、(火)の副種別を持つ来訪者、火を用いるクリーチャーなどが住んでいる。 エレメンタルは、この次元界そのものの一部が知性を持ったものであり、なにがしかの意志や目的のようなものを持って活動している。これらのクリーチャーには、物質界のクリーチヤーのエレメンタル版のようなものもいればく呪文の使い手が各種のサモン・モンスター呪文によって親しんでいるファイアー・エレメンタルもいる。こういったエレメンタルたちは通常、肉体を持った温度の低いクリーチヤーをよく思っておらず、多くは燃やして炎にくくるためだけに攻撃を仕掛けてくる。 イフリート、エイザー、サラマンダーといった来訪者たちは、もっと組織化された社会を持っている。彼らはしばしば大規模な定住地を作っているが、中でも有名なのがイフリートの都市たる“黄銅城”である。 来訪者はエレメンタルに比れば(多少なりとも)外来者に対して友好的であり、いくつかの共同体はわざわざ旅行者をもてなしてくれる。 火を用いるクリーチャーにも火の元素界を住処とするものたちがいる。 通常は出身次元界に通じる元素界の飛び地や渦動の近くに住んでいる。こういった場所では、デヴイルのような[火]への完全耐性を持つクリーチャー(デーモンやセレスチャルはそうでない点に注意)も見かける。黄銅城と九層地獄の間では頻繁に、情報、物資、捕虜などが取引されている。 火の元素界の住人たちが話す現地語は火界語である。これは、かん高く、シューシューいう音やカチカチいう音を含んだ言語である。訪問者と交流のある原住種族は追加の言語を話すこともある。このような場合によく用いられるのは、地獄語と物質界の共通語である。 |
遭遇表 | 火の元素界での遭遇表 |
- 黄銅城
- 黄銅城は強力なイフリートたちの住処であり、多くのイフリートにとって、ここは故郷であり首都である。イフリートは火の元素界のどこにでもいるが、僻地の居留地ですらも、炎上宮に住んで黄銅城を治める大スルタンに対して、忠誠を誓っている。大スルタン(大君主)は 比類なき力と技量を持ったイフリートでさまざまなマリク(公)、ベイ(文武の役人)、アミール(軍事総督)たちがこれに仕えているという。大スルタンの直属の下僕は、黄銅城と物質界の両方にいる合計6人のパシャ(将軍)であり、非常に強い力を持っている。黄銅城は幅40マイルの真錆製の半球の上に乗っており、火の元素界の中心部にある、ひび割れた黒曜石の岩盤の上に浮かんでいる。燃え盛る玄武岩の階段と炎の川が、地表から黄銅城の堅牢な城門まで続いている。飛行するクリーチャーであれば城壁を乗り越えることができるがイフリートたちは門を通らずにやってくる進入者を快く思っていない。 黄銅城は火の元素界で最も有名な場所であり、物質界からの旅行者 が一番よく訪れる場所でもある。境界線の内側では、通常の視界が得られ、大スルタンの意志によって、この次元界の過酷な性質が弱められている。次元界のすさまじい熱を押さえているのが大スルタンの生来持つ能力なのか、別のなにかしら強力な存在による介在なのか、あるいは魔法のアーティファクトであるのか、それは不明である。この防御は、大スルタンの気まぐれによって無効化されることもあり、その場合、黄銅城は次元界の元来の特性にさらされる。
- 灰燼の荒野
- 火炎海