深き暗闇の幽閉界カルケリ

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深き暗闇の幽閉界カルケリ /Tarterian Depths of Carceri
外方次元界
解説 カルケリは下層次元界の中では一見、あからさまに危険な次元界ではないように思われるかもしれない。しかし、その第一印象はすぐざまに消えうせるだろう。酸の海や硫黄臭い大気はこの次元界ではめったに見ることは無く、また刺すような冷気が覆う場所や灼熱地獄のような場所も無い。カルケリの危険はもっと周到なものなのだ。ここは暗闇と絶望、受難と毒、国を毀つ裏切りに満ちた次元界である。カルケリでは怨恨が深くゆるやかな河のように流れている。そしてその背信の濁流が次に誰を飲み込もうとしているのか、知る術は無い。カルケリの囚人達の間ではここに幽閉された他の誰よりも強大になる以外にここから逃れる術は無いと言われている。しかし、この次元界の絶望と裏切り、そして自己嫌悪を醸成する性質のもとではそれは困難なことだ。カルケリの多くの住人とは異なり、ネルルは追放されたわけではなく、自ら望んでここを本拠地としている。カルケリは6つの階層よりなる。それぞれの階層は惑星のような球状大地が一列に並んでおり、それぞれの球状大地は、大気により隔てられている。特定の階層においては、その球状大地のほとんどが次のものと区別がつかない。そして、各階層にある球状大地の惑星の数はおそらく無限である。

次元界ガイド:カルケリは6つの階層を持ち、それぞれが木製のマトリョーシカ人形のように入れ子構造になっているため、"六重の領土"と呼ばれている。どの階層においても、小さな惑星が一列になって無限に伸びている。
多くのカルケリの階層は流血戦争の負の遺産として戦に荒れ果ててしまっている。カルケリの大部分は下層次元界を巻き込み荒らした戦争からは無視されたままでいるが、その一部分は中継基地として使われたり、戦場となることすらある。
カルケリでは視界は通常通りである。物質界とは異なり、ここでは天然の光がそれぞれの球場大地から上方へ漏れて、何もかもを赤みがかった光で染めているように見える。聴覚はカルケリでは通常通り働く。
物理的特性 通常の重力
通常の時間流
元素およびエネルギー特性 なし
属性的特性 軽度な悪属性
魔法的特性 通常の魔法
住人・請願者 自ら望んでカルケリに生きるクリーチャーはまずいない。追放者、流刑者、敗北者がここに送りこまれる。これと同様、反逆者、裏切り者、姑息な野望をもった者の魂も送られてくるのである。ここは純粋にして単純なる監獄の次元界なのだ。
カルケリの住民は種族的にも文化的にも種種雑多である。その多くはカルケリを去り、自分の故郷に戻りそしてかつての地位に返り咲くために知謀を巡らせ続けている。囚人や請願者以外にも、カルケリは終わりなき流血戦争に加わるフイーンドを受け入れている。デーモン、デヴィル、ユーゴロスのすべてがカルケリを徘徊し、狂ったように疾走するナイトメアや他の悪の来訪者もこの地をうろついている。
カルケリの請願者
遭遇表 奈落の遭遇表



階層
オルトリュス/Othrys オルトリュスはカルケリの第1階層であり、茫然たる沼沢地と流砂の土地である。ステュクス河はこの階層を野放図に流れ、大地をその魔法で飽和させている。脆弱な大地を長年にわたって浸食した水路は広く深い。川が無いところがあるとしたら、そこは沼地である。乾いた地面はごくまれで、その多くは急峻な山となっており、てっぺんには怒り狂ったティタンが住んでいる。
モスキートが沼沢地の上空に群れをなし、旅人を悩ませる。だが、さらにうるさいのはこの陰気臭い場所に住む二枚舌の請願者たちである。
最後の希望砦
オルトリュス山
カトリュス/Cathrys カルケリの第2階層の球状大地は悪臭のするジャングルと緋色の平原に覆われている。大気には腐敗臭が満ち、ジャングルの植物が分泌する酸が腐敗を促進している。[酸]への完全耐性を持っていないものは、この揺れ動く木々の只中に長く居過ぎたならばそれを構成する物質まで分解されてしまう。このジャングルの空気は1d4ポイントの[酸]ダメージを1分ごとに与え、幾つかの植物はさらに強力な酸を分泌する。
カトリュスの平原はジャングルに比べれば住みやすい。広漠とした風吹きすさぶ草原がこの平原を覆っている。ある区画には剃刀の刃のように鋭い葉があり、それに注意をしていない旅行者を切り裂く。この平原で走行(2倍移動)もしくは疾走を行なうものは毎ラウンド、反応セーヴ(難易度20)を行わねばならず失敗すると自分を切り裂いて1d4ポイントのダメージを受ける。
罪業の薬屋
ミネテュス/Minethys カルケリの第3階層は砂で一杯である。突き刺すような砂が風で激しく吹き付けるために、むき出しのものは数時間で骨になるまでむかれてしまう。ここは次元界の中でも屈指のひどい嵐が吹き荒れる場所なのである。どこにいても、10%の確率で砂塵嵐に遭遇する。この階層に居住するものはみな、定命の存在であろうとフィーンドの類であろうと、突き刺すような砂から身を守るための衣服をまとっている。
ミネテュスでは竜巻は頻繁に起こる。この災害を避けるため、請願者は、手で掘って作った、みすぼらしい砂だらけの穴に住んでいる。ささいな防備にしかならないとはいえ、身を守るにはこれらの粗末な穴を絶えず掘りつづけなければならない。
ペイラテオンの砂の墳墓
コロテュス/Colothys カルケリの第4階層はいや高く峻厳にして、容赦の無い山岳であり、その山容は物質界からやってきた旅行者の想像を超えてたじろがせるようなものである。この階層を歩いて移動するのはほとんど不可能である。地面が深さ数マイルはある峡谷に分かたれているためだ。強大な地殻の働きによりばかげた高さにまで持ち上がらなかった場所がこの谷なのである。わずかな交易路は存在するものの、たいていの場合それはがたがたの橋とようやく1人が通れるかという桟道である。交易路に沿った場所以外のところを通常通り移動しようというのは不可能だ。キャラクターは〈登攀〉判定(難易度15)に成功したならば、その他の全ラウンド・アクションとして移動速度の半分の速度で移動できる。 悪意の花園
ポルパテュス/Porphatys カルケリの第5層はそれぞれの球状大地が、冷たく浅い大洋に絶え間なく黒い雪が降りしきる場所である。雪と水は酸性を帯びており、直接触れたならば10分につき1d6ポイントの[酸]ダメージを与える。ポルパテュスでは人工的な建造物は永く持たない。砂洲よりは小高い程度の小島が波の上に顔を出している。多くの請願者は小さな砂洲の島に這いずりあがり、ここから連れ出してくれるなら何でもすると約束するが、その約束にもかかわらず、彼らは機会さえ訪れたなら慈悲に対して裏切りで応えるのだ。
ここにはもう1人の追放されたティタンが住んでいるが彼の宮殿でさえも酸の波の前には半ば沈みかけ、緩慢に崩壊してゆくのである。
百人船
アガテュス/Agathys カルケリで最も寒い階屑は同時に最下層の、いやこの入れ子状になった次元界では、最も内側の階層である。他の階層と異なり、アガテュスにはただ1つの球状大地がある。それは赤い縞の入った黒い氷の球体である。
その空気は酷く冷たく、毎ラウンド1d2ポイントの[冷気]ダメージを与える。この階層は軽度な負のエネルギー優勢の属性を有している。ここにいる請願者は氷に半分埋め込まれ、その嘘が唇に凍りついている。
ネクロマンテイオン


最後の希望砦/Bastion of Last Hope
オルトリュス山/Mount Othrys
罪業の薬屋/Apothecary of Sin
ペイラテオンの砂の墳墓/Sand Tombs of Payratheon ペイラテオンとは永劫の昔、ミネテュスの球状大地の上に建設されそして消えうせた都市の名前である。この都市は長きにわたりうずもれているが砂に溢れた街路、崩れた塔、沈泥の溜まった柱廊式の玄関はまだこの階層の動き続ける砂の下深<に残っているのである。時折、移動してゆく砂の中からペイラテオンが1時間もしくはそれ以上現れることもあるがいつも再び砂の中に埋もれてしまう。その姿にそそのかされて砂に段たれた都市に入っていったクリーチャーは多くが窒息死してしまう。 時たま十分に装備した冒険者たちが、この都市が砂に埋まっている際に、都市の周辺部を探して掘り進もうとすることがある。こうした試みには恐ろしい話が付き物であり、その話によれば、砂の中をまるで水中を泳ぐかのように動く、ドラゴンに似た"砂ゴルゴン"がいるのだと言う。さらには、かつての住人が石化したアンデッドとなって街路を闇歩していることにも言及しておかねばなるまい。彼らは風雨にさらされて侵食が激しいため、もとの種族やサイズがほとんどわからなくなっている。
悪意の花園/The Garden of Malice コロテュスの空中庭園はこの階層にある1つの球状大地で見ることができ、旅行者はこれを避けようと思えば避けられる。不慣れな者の目にはこの球状大地の断崖の表面や急峻な斜面は、色とりどりの美しい花が咲く厚く茂った蔦や根茎の苗床となっているように見える。これらの植物の標本を採取しようとしたキャラクターは、この蔦が動くことに気づくだろう。そしてこの蔦が登雑の手がかりに蔦をつかもうとした者、花を摘んだ者、さらには単に近くに寄りすぎただけのクリーチャーさえも絞め殺そうとすることを知るのだ。 おそらくこの動く蔦は永年にわたって球状大地を丸ごと覆うまでに育った、一個の生命体であるのだろう。600日に一度、この蔦はタンポポの綿毛に似た小さな種を放つ。そして階層を吹<風がこの山岳の地の数百という球状大地に種を吹き散らす。その多くは虫に食べられるが、それ以外の多くは養分の多い土にたどり着き、そして他の球状 大地の人知れぬ崖にある小さな窪で芽を出すのである。
百人船/Ship of One Hundred ある船がポルパテュスの海の冷たい波に漂っている。その船は"百人船"と呼ばれるが、あるものはそれを"白き船"と呼びもする。その船は目に見える乗組員がおらず無人で航行する、幽霊のように蒼白いカラベル(訳注:15~16世紀にスペイン人・ポルトガ ル人が用いた軽快な帆船)のように見える。この船は数多くの球状大地の小島の間を行き(どのようにしてか、ある球状大地から消えうせたかと思うと別の球状大地に現れる)、その無謀な航路を行く勇気のある(あるいは分別の無い)座礁した魂や旅行者を拾い上げてゆく。
乗客はすぐにこの船の甲板の上では誰も動いていないことを発見す る。下層甲板と貯蔵庫はかっきり100個の簡素な石の棺で占められている。今まで誰もその棺を開けるのに成功したものはなく、そして生きてその話を伝えたものもいない。こうした試みが行なわれたなら常に、なにか記録されていない災難が乗船しているクリーチャーに降りかかる。 そして次にこの船が新たな港に着いたときには生きている者はまったくいなくなっているのである。話によればこの船はその恐ろしい船荷を届ける場所を捜し求めているのだというがくそれがかなうには時の終わりが来るまで待たなければならないのだという。 棺を開けようとした好奇心の強いものの死体を"掃除"する最中に、旅行者(多くは請願者やデーモン、他のクリーチャー)が船に群がる。そのうち幾人かは一時的な住まいとして、幸運なことにこの船に乗って、何か神秘的な力に舵取られるまま所々へ移動できる。これらの住人は、石棺を開こうとする訪問者のことをよく思わないこと甚だしぃ。
ネクロマンティオン 氷から彫りだされた黒い城塞、これこそが上級神格ネルルの本拠地の中心である。ネルルは死の神格で、"刈り取る者"、"すべての善に敵する者"、"暗黒をもたらす者"などの名で呼ばれる。請願者は外の土地の氷だけでなく、ネクロマンテイオンの床、壁、天井の氷にも埋もれている。
ネクロマンティオンのうらぶれた入り口はすぐに"隠されし寺院"と呼ばれる、すべての種類のアンデッドがうごめく大きな広間につながる。わけのわからないことをぶつぶつとつぶやくグールのともすランタンの

青緑の光がそこを照らしている。数百もの瑪瑙の祭壇が広間の周囲に等間隔で並べられている。そしてデーモンのクレリックが絶えず、身の毛のよだつような死霊術儀式の宗教歌を詠唱している。その詠唱のそばではデーモンの司祭が他の祭壇に山と積まれた壊死した肉体に対して、奇怪な実験を果てしなく続けている。
ネルルの玉座は隠されし寺院の中央にある。単調な黒い外套をまとった血錆色の骸骨、ネルルの眠りを妨げるものに災いあれ。ネルルの骨の手には常にライフカッター(「命を切り取るもの」の意)という名のセーブルウッドの杖が握られている。その杖からは大鎌のごとき朱色の力場の刃が飛び出し、あらゆるクリーチャーを殺す力があるのだ。 隠されし寺院にはいくつかの付随した小部屋がある。そのいくつかには食料が蓄えられ、デーモンのクレリックの宿坊となっている。他の小部屋は、瑪瑙の祭壇に縛りつけられる(または飢えたクレリックの食料 となる)運命にある生ある捕虜に割り当てられ、そしていくつかの特別な小部屋にはネルル信仰の聖宝が封印されている。 最後にこの階層の氷の奥深<へと続く小さなトンネルがある。それは デーモンの司祭ですらその深淵を探ることに怯える恐怖の納骨所につながっていると言われている。この世のものとは思えない嘆き声や畷き がその深淵からは聞こえてくるのである。