泰平なる諸王国アルカディア
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泰平なる諸王国アルカディア /Arcadia | |
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外方次元界 | |
解説 | アルカディアでは、木々が完壁な直線状に並んだ果樹園が生い茂り、定規で画いたように真っ直ぐな小川が流れ田畑は整然と区切らね都市は幾何学的に美しく配置されている。山々は一切、侵食の作用を受けてない。アルカディアにあるすべてのものは共通の善と、傷ひとつない存在形態に向かってたゆみなく進んでいる。この地では、調和を乱すものはない。アルカディアにあるものはすべて、このうえなく完壁で、メカヌスほど厳密に統制されているわけでもなく、セレステイアのものたちほど自己完成に身を捧げているわけでもないと言われている。しかし、それもまったく正しいというわけでもない。実際、アルカディアの住人はしばしば自己自身の正義を確信するあまり、自分の欠陥をなかなか認めようとしない。何千年も昔にアルカディアの最下層であったメナウシスが失われ、その霊性がメカヌスヘと移動して究極の秩序の領域たる歯車の1つとなってしまったのも、そのことが原因かもしれない。当然の応報を司る神格、こん棒の聖カスバートはアルカディアに己の領土を持っている。 アルカディアの風景 アルカディアにある2つの階層の原住種で、完壁さと平和に貢献せぬものはない。野原や森には穀物や果実が、手を加える必要もなければ、病害虫の恐れもなく、たわわに実っている。花を咲かせる"野草"でさえ自然に咲くことで、最も調和の取れた色合いを作り出す。 アルカディアの木々は不思議な品種であり、森のそばに生えているものもあれば真っ直ぐな列をなす果樹園に生えているものもある。樹皮には赤銅、黄金、白銀、黒鉄の光沢がある。葉は深緑から炎のような赤にまで及ぶが、落葉することはない。いつも果実が実っている。めったにないことだが、摘み取られた果実が突然、魔法的な性質を帯びることがあり、ランダムに決定したポーションの効果をあらわすことがある。摘み取られるまで、果実が魔法の性質を帯びることはない。 アルカディアでは視界は通常通りである。夜と昼は、アルカディアで最も高い峰にある"昼と夜の宝珠"によって決まっている。この宝珠の半分は光を放ち、もう半分は真っ暗である。宝珠は一様の速度で、しかも止まることなく回転し、無限に広いこの次元界の半分を照らし、もう半分には自然の闇が落ちる。夕暮れや夜明けはない。ただ、昼と夜だけがある。 |
物理的特性 | 通常の重力 通常の時間流 |
元素およびエネルギー特性 | |
属性的特性 | 軽度な秩序属性:属性が混沌のクリーチャーは、アルカディアでは【魅力】を基本とするすべての判定に-2のペナルティを被る。 |
魔法的特性 | |
住人・請願者 | アルカディアには、アルコン、アアシマール、デーヴァなどのクリーチャー、そしてあらゆるところにいるエインヘリャル(「アルカディアの請願者」)の民兵に混じって、物質界から来た多くの定命の存在が住んでいる。 アルカディアは平和を好む多くの動物たちの故郷でもある。ゴールデン・フォックス(黄金狐)、カッパリー・ヘア(赤銅ウサギ)、シルヴァーウールド・シープ(銀毛羊)などや、ワスプ(峰)、ビー(蜜蜂)、アント(蟻)などの組織化された昆虫もありとあらゆる種類のものが暮らしている。そうした動物や昆虫の巨大版も、アルカディアのいたるところで見ることができる。 フォーミアンはアルカディアにわずかながら"巣=都市"を有しているが彼らの拡張主義的な価値観は(少なくとも対外的には)姿を潜めている。フォーミアン・ウォリアーたちが進軍を始めれば、アルカディアの調和は損なわれてしまうだろう。 アルカディアの請願者(エインヘリャル) |
遭遇表 | 天上の遭遇表 |
階層 | ||
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アベルリオ | アルカディアの第一階層の大部分は平坦だが、きちんと調整された山々や丘陵もある。この地には、森や湖、野山、小川などもすべてある。ここは豊穣の階層であり、普通の動物も含めて、ありとあらゆるものが共通の善のために働いている。 | 大顎 クランゲディン山 聖カスバート大聖堂 |
ブクセヌス | アルカディアの第2階層は第1階層と非常によく似ており、まったくむらのない草に覆われた心地よい谷間、自然に育つ果樹園、円形の湖などがある。しかし、ここは、失われたメナウシス階層を取り戻そうと、メカヌスに対して当然の権利であるイデオロギー的な襲撃をしかけるための力を蓄えているアルカディアの軍勢の集積地ともなっている。この"再解放"が実際に起こるかどうかは、誰にも判らない。この階層の至る所に、"調和党"と呼ばれる、物質界出身の特に軍隊的な分派の訓練場がある。彼らは善を求めていはするものの、この"再訓練キャンプ"は害となることの方が多い-少なくとも、多くの権力者はそう見ている。こうしたキャンプで調和党は、混沌の属性を持つ"借りてきた"定命のものたちに対して秩序と調和の教義を教え込み、彼らの霊的なアイデンティティーを以前より調和的なものに変えようと努めている。不幸なことに、成功率は低い。より高い見地から見ると、こうしたキャンプの存在は、実際に、ブクセヌス階層の性向を善より秩序方向へと変えつつある。こうした変化が続けば、アルカディアはすでに失った第3階層だけでなく、最終的に第2階層もメカヌスにとられてしまうだろう。 | |
メナウシス | アルカディアの第3階層は、実際にはもはや存在しない(なくなって数千年は経っている)。その次元的な霊性はメカヌスに吸収されてしまっている。この大災害はフォーミアンの過剰な植民と、彼らの過剰かつ無慈悲なまでに秩序に偏った思考様式のせいであったとされる。今となっては、メカヌスのどの部分がかつてのメナウシスであったかは、誰にも判らない。しかし、フォーミアンの巣車群の大部分はかつてのメナウシスであった可能性が高い。 |
- 大顎
- フォーミアンはすべての次元界、すべての世界に広がる野望を持っているため、少しばかり恐れられている。アルカディアにあるフォーミアンのコロニーは拡張主義的ではない。あるいは、ミュルマルクたちやクイーンが素早く、エインヘリャルたちにそのような意思表示をしたのかもしれない。彼らの"巣=都市"は"大顎"と呼ばれている。
- 一般的な"巣=都市"とは違って、大顎は開放されており、大部分は地上にある。外側から見れば、この巣は2階建てや3階建ての建物、公園、尖塔を幾何学的に組み合わせたものに見える。都市の地下に隠されたトンネル群は、フオーミアンでないものたちにはまず見ることができない。それでも、地上にある市場や宿への訪問者は歓迎される。
- 女王母クルツクスラ(フオーミアン以外のものたちからは"明晰妃"と呼ばれている)がトンネル群の最深部にある女王部屋から、大顎を支配している。明晰妃は巣の各種業務を監督し、繁殖し、"卵の座"を守ることで日々を過ごしている。
- クランゲディン山
- いずれの山脈にも属さぬ完壁な円錐形の山がふもとの地面より少なくとも13000フィート(約4000m)はそびえ、その峰は雲と嵐に取り巻かれている。この大"建造物"は、ドワーフの大英雄"銀鬚"クランゲディンの作ったものである。
- この山の内部にはいくつもの穴が穿たれており、大広間、回廊、ドワーフが掘り敷石を敷いた通路などがある。高価なランプ、熱間および冷間加工をする鍛冶場、都市ほども広い宴会場のいずれもが地下への訪問者に明かりと余興を与えてくれる。ここでは余所者、特に鍛冶場の最も高熱の場所で働く伝説の鍛冶師たちのところへ特別の武器を注文に来るものたちは歓迎される。
- クランゲディン山の内部に住むドワーフは定命のものも請願者も、毎日半分を、彼らの王たるクランゲディンをあがめるために、鍛錬を積み、訓練を行ない、戦いの技を完壁なものとすべ<努める。時に、軍を興そうとする訪問者がクランゲデイン山を訪れ、正義の戦争の物語を携えて、この神格をそそのかそうとすることがある。時に、クランゲディンはそうした訴えに動かされ武力を割いてその大義に割り当てる。
- 聖カスバート大聖堂
- 聖カスバートのおわすこの巨大建造物は高い城壁に囲まれ、そこには選りすぐりのパラデインたちが配置されている。城壁の中には大聖堂本体が建っており、一番高いドームは1マイルの高さに及んでいる。
- 大聖堂の中心には、"真実の座"と呼ばれるカスバートの神座があるが彼がこの席につくことはめったにない。蛇をかたどった4本の柱に支えられた開放的な天蓋がこの神座を覆っている。この柱は、聖カスバートが九層地獄へ短期の聖戦に出かけた際に戦利品として持ち帰ったものである。
- 常識や叡智などといったことどもを司る神格であるため、聖カスバートはものごとのありよう、哲学、その他あらゆることを裁定することで名高い。しかし、彼は"こん棒の聖カスバート"とも呼ばれており、どこへ行こうと、そのブロンズウッド製の武器を携えている。言葉を尽くしてなお至らぬ時には、このこん棒がものを言うことになる。
- エインヘリャルや特に選ばれたクレリックやパラデイン、その他の信仰篤い者たちは、聖カスバートとともに大聖堂に滞在しているが彼はその多くを己の名のもと、使命に送り出す。時に聖カスバートの叡智を求める嘆願者が訪れるため、質素な宿泊施設が用意されている。