「永遠に荒涼たる苦界ゲヘナ」の版間の差分
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− | | style="width:600px;" |カマーダの斜面から見ると、ニミクリは直径2000フィート(約600m)ほどの小さな月のように見える。燃える山からははっきりと離れて、その上空に浮かんでいる。尖塔や尖った屋根の建物、さほど劇的ではない建物の数々が、網の目の様に入り組んだ道路で結ばれている。すべては清潔で、建物は修理が行き届いており快適。そして、住人はいずれもたいへん礼儀正しい。交易所ではありとあらゆる上等の品物が手に入るため、ニミクリは外方次元界をまたがる交易路の停泊地点として確立している。<br><br> | + | | style="width:600px;" |カマーダの斜面から見ると、ニミクリは直径2000フィート(約600m)ほどの小さな月のように見える。燃える山からははっきりと離れて、その上空に浮かんでいる。尖塔や尖った屋根の建物、さほど劇的ではない建物の数々が、網の目の様に入り組んだ道路で結ばれている。すべては清潔で、建物は修理が行き届いており快適。そして、住人はいずれもたいへん礼儀正しい。交易所ではありとあらゆる上等の品物が手に入るため、ニミクリは外方次元界をまたがる交易路の停泊地点として確立している。<br><br>ほとんどの訪問者二は決して知らされないことだが、ニミクリは(建物も住人もすべて)街に化けた1体の巨大なクリーチャーなのである。ニミクリは訪問者を完全に吸収してしまうこともあればくまったく害さずに立ち去らせることもある。訪問者の血液のたった一滴でもこの街の地面に落ちればニミクリはその訪問者を完壁に複製することができる。これには、血液が落ちた時点までの記憶も含まれる。ニミクリの"住人"をむりやり街から引き離せば、その住人は、身体から切り離された手足のように、ただちに死んでしまう。 |
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2019年10月21日 (月) 16:19時点における版
永遠に荒涼たる苦界ゲヘナ /Bleak Eternity of Gehenna | |
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外方次元界 | |
解説 | ゲヘナの最上階層はハデスと九層地獄に境を接しているため、快適な場所ではない。計り知れない無限の虚空に、麓も山頂もなきが如き巨大な火山が浮かんでいる。こうした山々は厳密に言えば有限だが、どの方向にも何百マイルも広がっている。4つあるゲヘナの各層には、それぞれ1つの巨大火山がそびえているが、小さな浮火山ももいくつか漂っており、時に大きな火山と衝突する。 どの階層にも、自然で平らな場所はない。斜面はどれも少なくとも45度の角度で、ほとんど断崖絶壁になっている所も多い。 ゲヘナに領地を持つ強力な存在には、数多いユーゴロスの王たちの他にも、リッチロードのメリフ/Mellifleur、悪のクラウド・ジャイアントの神格であるメムノールなどがいる。イリシッドの神格であるマアンジコリアンの領地もかつてはここにあった。しかし、マアンジコリアンはテネブロウス(オルクス)によって殺された。それによって、神格を失った彼の領地は崩壊し始めた。 次元界ガイド:ゲヘナの各階層("山"と呼ばれる)はそれぞれわずかずつ違っているが、どれも邪悪な意志に燃えている。溶岩の流れは不用心な旅人を狙っているようだし、地面そのものが飢えているようかおように、訪問者の足下で地割れが口を開ける。カルケリと同様に、傾いた地面そのものが光を発しており、影は上方に伸びる。 "ゲヘナでの落下" ところどころにある岩棚と人工的な建造物を除けば、ゲヘナにある自然の表面はすべて、少なくとも45度斜面であるため、移動することは危険である。ゲヘナにおける〈登攀〉判定の難易度は、普通の斜面における0から、急斜面での15や、断崖絶壁での25にまで及ぶ。 斜面では、クリーチャーは移動相当アクションとして移動速度の1/4で移動するか、全ラウンド・アクションとして移動速度の1/2で移動することができる。それより速く移動しようとすれば〈登攀〉判定に-5のペナルティを被る(〈登攀〉ルール通りである)。〈登攀〉判定に失敗した者は移動することができない。〈登攀〉判定に5以上の差で失敗した者は落ちる。落下すれば、その犠牲者はゲヘナの果てしない急斜面を転がり、はずみ、跳ね返りながら落ちて行く。落下しているキャラクターは〈登攀〉判定に成功することで、しがみつくことができるかもしれない(斜面では難易度10、急斜面では難易度35、断崖絶壁では難易度45)。 ランダムな場所で落下した場合、犠牲者はその10d10+100フィート下にある岩棚まで落ちて止まる。この時、跳ね返り、身体を打ちつけながら落下したことにより10d6ポイントのダメージを被る。場所によっては、犠牲者の落下がすぐに止まることもある。溶岩の川に落ちて。 "ゲヘナでの戦闘" ゲヘナにおける戦闘は、物質界において双方とも登雑中の敵同士が戦うのに似ている。ゲヘナの山腹の斜面にいる者はすべてACへの【敏捷力】ボーナスを失い、シールドを使うことはできない。攻撃側は(自分自身が〈登攀〉中であっても)〈登禁〉中の敵を攻撃する際に+2のボーナスを得る。 ダメージを受けた登攀者は、ただちにもう一度、斜面の難易度に対して〈登攀〉判定を行なう必要がある。失敗したなら、ただちに落下し、『ゲヘナでの落下』で示したダメージを被る。 |
物理的特性 | 通常の重力 通常の時間流 |
元素およびエネルギー特性 | |
属性的特性 | 軽度な悪属性 |
魔法的特性 | |
住人・請願者 | ゲヘナの請願者 |
遭遇表 | の遭遇表 |
階層 | ||
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カラース | ゲヘナの第一階層にして最下層であるカラースの大気は、地上付近ではマグマの流れと火砕性の座のため、深紅の色合いを帯びている。しかし、頭上数十フィートもいかないうちに、たちまち薄れ、真っ暗となる。奇妙なことに、隣の山であるカマーダが頭上の暗闇に見えている。ただ、あまりに遠いため、小さな赤い月のようではあるが。カラースの斜面は幾多の滝が走り、無数の川が流れている。こうした滝がこの階墹の底までたどり着くことはなく、霧散するか、地割れの中へと消えてゆく。中でも最大のものは、ステュクス河がこの険しい階層をごうごうと音を立てて流れてゆく間につくる滝である。 カラースには、コボルドの神格ガヌーラク/Gaknulakの領地アヌースラク/Aknuthrak、ワーラットの神格スクエアリック/Squerrikの領地チェイジン 、マス・マソンウィの領地コリーグレイブ、スン・チャンの領地涙滴宮などの神格の領地が多数存在する。 |
涙滴宮 |
カマーダ | ゲヘナ第2の山は最も荒々しい山である。その斜面は絶えず流れるマグマが撚え盛っており、固くて冷たい地面はほとんどなく、その輝きで空を染めている。いくつもの小さな滝をつくって流れる溶岩の川は、時に固まって、短期間ではあるが炎の流れをせき止め、すぐに新たな方向へと吹き出してはまた流れてゆく。火口が不意に口を開け、新たな噴出物を吐き出す。小さな火山はそこらじゅうにある。通常は、大気自体が羽根のような灰で一杯で、恐ろしげな雪のようにあたり-面に降り、しばしば視界を0フィートにしてしまう。 ジャイアントの神格であるメムノール/Memnorの領地であるスラオター/Thraotor 、サルゴナス/Sargonnasの領地である欺きの宮殿が存在する。ここには死せる神格の領地としてイーヤクトゥー・ゼヴィム(憎悪の要塞/The Bastion of Hate)、マアンジコリアン/Maanzecorian(リクタス/Rictus)も存在する。 |
ニミクリ 秘術の塔 |
ムンゴス | カマーダやカラースと比べると、第3の山の火山活動は非常に少ない。実際、ここは非常に寒く、しばしば雪に覆われている。たまにある火口から漏れる光は満月の光に似た明かりを放ち、そのため、ムンゴスの氷に覆われた斜面で方向を定めるのは難しくなっている。こうした明かりも、雪や灰が降れば消えてしまうことがある。雪と酸性の灰のため、避難所を見つけられなかった旅行者は危険にさらされる。斜面に積もった氷雪のため、ムンゴスにおける〈登攀〉判定は-4のペナルティを被る。 "酸の雪":ムンゴスの灰混じりの雪は、それにさらされている1分ごとに1d4ポイントの[酸]ダメージを与える。人工建造物か洞窟でなければ降雪に対する長期的な防御を与えてはくれない。ムンゴスではどの地域でも、時間の80%は雪が降りしきっている。 ムンゴスには、リッチの神格ヴェルシャルーンの領地である死の抱擁/Death's Embrace とロウヴィーエイター/Loviatarの領地であるオンドラント/Ondtlandが存在する。 |
追放者の谷 |
クランガス | ゲヘナ第4の山は"死せる溶鉱炉"とも呼ばれ、まったく火山活動がない。何千年も昔に活動を停止したのだ。この階層にある最大の山は夜の間の中を回転する、黒ずんだ柱である。この階層は静寂に包まれている。風が吹きすざぶこともなく、光がきらめくこともない。クランガスは死んだ世界なのだ。 請願者がいることはまれで、この階層を移動する請願者は静かにしている方がよいことを知っている。メリフに聞きつけられることがないように。 カクランガスにはオークの神格シャーガース/Shargaasの領地であるザ・ナイト・ビロウ 、リッチ・ロードメリフの住処である黒曜石製の要塞、ホープローン が存在する。 |
ホープローン |
這い回る都 | 黒曜石と灰でできた巨大な国際都市である"這い回る都"は、主であるゲヘナ大将軍の意志に従い、階層から階層へと、ゲヘナじゅうを移動する。這い回る都は、都市の巨大な最下層の下に移植された、火に完全耐性を持つ幾千ものフィーンドの脚によって動いており、ゲヘナの最も険しい断崖にしがみついたり、最も広い溶岩の川をゆっくりと渡ったりすることができる。&br;大将軍は、半神格にも匹敵するパワーを持っていると言われるウルトロロスである。理屈では、すべてのユーゴロスは彼の命に従うことになっているが策略と欺瞞の網を張り巡らせることがユーゴロス族の習いとなっているため、二心を持つものはさらである。&br;&br;この都市には、デヴィル、デーモン、その他さまざまなエリート傭兵部隊のための粗末な兵舎や、強力な戦闘用魔法を備えた攻城塔などがある。また、優れたフイーンドの戦略家が流血戦争に出陣せんとする前途有望な士官たちに己の知識を教授する軍学校や、鍛冶屋たちが次々と最新のフィーンド用兵器を生産している巨大な工場もある。&br;這い回る都自体は、その数千年に及ぶ歴史の間に、直接、流血戦争に参戦したことはない。古代の予言によれば、もし這い回る都が直接に参戦するようなことがあれば、流血戦争はついに黙示録的な最終戦闘によって最終的な結果を迎えるだろうとのことである。 |
涙滴宮 | ステュクスの流れのほとりに、2つの小さな社を左右に従えた、オウムガイ型の塔力錘っている。鍛鉄製の塀に囲まれた涙滴宮は、明らかに神格が築いたとおぼしき岩棚の上を占めている。この塔は縦横ともに1マイル、左右の社も同じくらいである。2つの社の間では、バザールが開かれ、にぎわっている。会場一杯に、ユーゴロス、請願者、デヴィル、デーモン、それ以外の来訪者、そして時には定命の訪問者すらやって来ては、あちこちと歩き回る。このバザールではどんなものでも売り買いされている-ほとんどどんなものでも"大いなる転輪"のどこかから盗んでくることができるため、ここは究極のブラック・マーケットとなっているのだ。値段は高く、絶えざるスリの危険にさらされはするがこのバザールは珍しくて入手困難なアイテムを売ることで名高い。 |
ニミクリ | カマーダの斜面から見ると、ニミクリは直径2000フィート(約600m)ほどの小さな月のように見える。燃える山からははっきりと離れて、その上空に浮かんでいる。尖塔や尖った屋根の建物、さほど劇的ではない建物の数々が、網の目の様に入り組んだ道路で結ばれている。すべては清潔で、建物は修理が行き届いており快適。そして、住人はいずれもたいへん礼儀正しい。交易所ではありとあらゆる上等の品物が手に入るため、ニミクリは外方次元界をまたがる交易路の停泊地点として確立している。 ほとんどの訪問者二は決して知らされないことだが、ニミクリは(建物も住人もすべて)街に化けた1体の巨大なクリーチャーなのである。ニミクリは訪問者を完全に吸収してしまうこともあればくまったく害さずに立ち去らせることもある。訪問者の血液のたった一滴でもこの街の地面に落ちればニミクリはその訪問者を完壁に複製することができる。これには、血液が落ちた時点までの記憶も含まれる。ニミクリの"住人"をむりやり街から引き離せば、その住人は、身体から切り離された手足のように、ただちに死んでしまう。 |
秘術の塔/The Tower Arcane | この塔はカマーダの溶岩の流れと灰の雲の上に高くそびえており、歓迎されざる訪問者に苦痛と死を約束する刃やトゲで飾り立てられている。ユーゴロスのウィザードたちがこの塔を支配しており、ここはユーゴロスという種族の記録保管庫として機能している。ユーゴロス族の歴史がここに保管されているが、その情報は厳重に守られており、グリフ・オヴ・ウォーディングやシンボルなどの保謹呪文とともに強固に暗号化されている。秘術の塔内部の部屋部屋には、皮を剥がれた請願者の肉体がいくつも鎖で吊り下げられている。ウイザードたちは、こうした請願者(とたまに現われる歓迎されざる訪問者)の血を用いて歴史文書を記す。書棚や封印された文書庫に使われていないすべての壁には拷問用具が並んでいる。&br;塔の地下深くには、定命のものと交わした特におぞましい契約書を納めた巨大な書庫が何マイルも続いている。ウィザードたちの持っている中でも最も強力な保護呪文が、溶岩や次元界盗賊の侵入からこの書庫の尊厳を守っている。契約書はどれも、生きている請願者の皮膚に魔法や焼き鏝によって焼き付けられ、刻み込まれている。請願者たちは、紐に通したポップコーンの様に鎖でつながれ、何マイルもの苦悶の列また列をなしている。どの請願者の心も占めているのも、己に焼き付けられた契約のことと、自分の感じている苦痛のことだけである。 |
追放者の谷 | 深い裂け目の1つに隠されて、どこにでも降り積もる酸性の雪から守られた土地がある。同量の玄武岩と巨人の骨で築かれた未完成の城。この城は主人の体格に合わせて建てられている。主人とは、タストゥオという名の、追放されたファイアー・ジャイアントのウイザードである。彼女の8人いる兄弟姉妹と、仲間の追放者もここに住んでいる。タストゥオと同様、彼らも皆、ウィザードかソーサラーである。&br;この階層のユーゴロスは、タストウオといくつかの連結契約を結んでおり、そのため、彼女の敵が彼女を見つけた場合でも、この谷が安全なようになっている。タストゥオは決して自分の敵が誰だか明かさないが、自分もそうした苦境にあるためか、聖域を求めてくる旅行者の苦境に対しても同情的である。従って、追放者の谷は、窮地にある訪問者にとっての避難所の役割も果たす。とはいえ、見つけることができての話ではあるが。 |
ホープローン | 人工的に維持されている岩棚の上に、正確に配置された黒曜石の建物群。そこらじゅうにある小さなスリットのような窓からは、ぼんやりとした赤っぽい光力掘れている。ここはホープローン(「絶望」の意)、リッチロードであるメリフの要塞である。ホープローンは、墓石が街灯のように光り、どの大通りにも死霊術のエネルギーが人魂のように踊っている、死の都である。ここではアンデッドは歓迎されるが生者や請願者はさほど歓迎されない。メリフは請願者を、命限りある生からの変化をきちんと成し遂げられなかった哀れな敗残者だと見なしているからである。 ホープローンでは、メリフと、リッチやその他の強力なアンデッドの呪文の使い手から成る一党が、生や死、存在の本質について終わりなき研究を行なっている。時にメリフとその一党は、フィーンドを捕らえて非道な実験に用いるがその際、ユーゴロスを捕らえぬよう注意する。ユーゴロス族の怒りが直接ホープローンに向かわぬようにである。また、神秘の技に没頭し、ついにリッチとなる以前は、メリフ自身がユーゴロスであったとも噂されている。 |